Komの付き物

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絶望のG700難民

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  • 前置き

ブログ放置してるように見えて実は10記事ほど4000字以上ほどの書き途中のものがあるので、ちゃんと書き上げて順番に上げていこうと思う。

 

 

G700というマウスを知っているだろうか。12年前の2010年に発売したLogicoolのマウスで、サイドボタン4つ、左クリックの横に3ボタンという所謂多ボタンマウスである。

自分が初めてPCの自作やPCでのゲームをヘビーにプレイしたり、仕事でもPCを使うにあたり、デバイスに少し拘ったものを買うことにして購入したモデルがG700だった。

このマウス、当時から見ても似た仕様のマウスは全メーカー含め存在せず、G700ひいてはG700sが廃盤になったあとも後継機が作られなかったためにGoogleのサジェストには『難民』と付与され、G700ユーザーが現在進行系で移行先を失っているマウスなのだ。

なぜこれを話題にするのかって言ったら当然僕もその一人なので、今日はちょっとマウスについての話をしようと思う。

  • 使いやすいマウス

使いやすいマウスとは当たり前だが『普通の形』であることだ。
トラックボールマウスもエルゴノミクスな奇形マウスも使いやすさを向上させるための製品のはずなのに、楕円で山なりの筐体と右クリックと左クリックとマウスホイール(追加親指側サイドボタン2つ程度)で構成されている普通の形のマウスが一番使いやすい。
これは『慣れているから』ではなくて――例えばトラックボールとかは物理的に使える指が減るために行える動作が増えるからである。トラックボールマウスの場合マウス本体を移動させることができるスペースが机の上にないとか別の条件付けがあるときに初めて使いやすいマウスになり得るのだ。

他にはMMO使用想定の12ボタンとかの超多ボタンマウスとかは、マウスの動かし方と致命的に噛み合ってなかったりする。
マウスの動かし方は、かぶせ持ちの場合は手のひらか人差し指と中指の付け根とマウスとの摩擦で押さえ込むように移動させ、つまみ持ちの場合はマウスを右に移動させるとき親指で右に押し、左に移動させるときは薬指と小指で左側に押すことになる。これが前者は問題ないが後者は側面のボタンの存在が邪魔になる。
ましてや、移動させたあとそれでも入力された移動距離が足りないときはマウスを持ち上げて中央に戻すと思うが、そんなときどんな持ち方であろうと親指と薬指と小指で挟み込んで持ち上げる都合上、親指の腹にボタンなんてあったら誤入力してしまう。誤入力してしまわなくても、誤入力しないような力加減を要求される時点で使いやすいマウスとは言えないだろう。
また仕事でもプライベートでもどこに行ってもPCを触るときはマウスが普通の形をしている以上、エルゴノミクスな奇形マウスはそのマウス独自の使い方に慣れるまで使い続けなくてはいけないため、使いやすいマウスとは程遠いのだ。

だから、ボタン同士やそれを押す指同士の干渉がなくマウスのフォールドとも噛み合う『使いやすいマウス』は高級マウスに見られるように『普通の形』になるのだ。G Proのように。シンプルイズベスト。

 

  • サイドボタン

サイドボタンの是非については、PC操作が決定=左クリック、コンテクスト=右クリック、上下スクロール=ホイール――そして次いで『戻る/進む+undo/redo』になっているので、サイドの2ボタンはないよりはあった方がいい。位置はマウス筐体の親指側天頂付近とどのメーカーでも共通。
今では安い機種にも当然のように搭載されているけれど、この位置、上記の『使いやすいマウス』の条件を侵さない天才的な配置で、一体最初にどこのメーカーが作ったかは知らないけれど、良い発想をしている。そもそもサイドボタンがあると利便性が上がると発想した設計デザイナーが云々――――

 

  • G700

ここで、話をG700に戻す。

親指側天頂付近にサイドボタン2つが重ねて配置されて合計4つに。
左クリックの横に左クリックと同じ下方向への押ボタンが縦に3つ並ぶ。

既に使い慣れている元々のサイドボタンの配置の邪魔をせず、マウス本体を移動させるときの親指による誤入力に配慮した追加サイドボタン2つ。まずここ。通常のサイドボタンの位置を崩していないので、多ボタン化されても誤入力が起きず、入力するボタンを指で探す必要もない。何故なら通常のサイドボタンから下に一つズレているだけだからだ。これが横4つに並んだ場合、今押そうとしているボタンが一番手前側のボタンなのか2つ目のボタンなのかわからないなんてことが起きていただろう。一番上一番奥、一番上一番手前、一番下一番奥、一番下一番手前――入力間違いの起きようがない。

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『使いやすいマウス』の形を崩さず、左クリックという一番使用回数が多いゆえに一番慣れている人差し指の押し方と共通できる左クリックの横に添えられた追加ボタン3つ。
多ボタン化するにも押しにくかったら意味がない。マウス自体を支えている小指や薬指でボタンを押すなんてご法度。中指は右クリックの長押し等で既に使用していたり左クリックとの同時押しなんて入力がある以上、中指用の追加のボタンがあってもキーボードと同じぐらい入力がしんどい。ホイールのそばにあってもホイール自体が邪魔になったり誤入力の元に。

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通常ボタン数より多くの追加ボタンを実装していながら一切奇形化していない。

間違いなく神マウスだろうと思う。

 

 

  • そもそも何故多ボタンマウスは必要なのか

これはPCの利用方法によると思うが、僕の場合は当時仕事で使っていたDTPソフトのショートカットキーのせいであった。基本的に切り貼りのショートカットは言わずもがな、非常に独自のショートカットキーの入力が多かった。これが切り貼りのショートカットキーと両立しようとすると左手のホームポジションとなる場所がほぼ存在しなくなるようなエグい指の移動量になるのだ。ここに右手側のマウスに普通のマウスより多いボタンがあり、せめて切り貼りだけはマウス側で入力できるようになると、左手がほほホームポジションに固定できる。すると文字への打ち込みへの移行や通常ショートカットキーがキーボードを見ずに入力できるようになるのだ。当然入力速度もあがる。あとredoのControl+Yなんてキーを見ずに打てないってのもあった。

他の理由には、プライベートで遊ぶPCゲームでは当時CoD:BO(2010年)というFPSゲーが流行っていて、僕もよく遊んでいたんだが、普通のサイドボタン2つではWASD以外の他の入力をする際、移動キーから指を一瞬でも離さなければいけないのが少しストレスになっていた。
これが多ボタンマウスになると――例に上げたFPSだとグレ投げやリロードなどを移動しながら入力できるようになり、キャラコンの質が上がるのだ。(上手いプレイができるようになるかは別とはいえ)

現行FPSの多くはアビリティやULTなどで昔のシンプルなFPSより明らかに必要なキー入力が多いし、FF14などのMMOでは大量のキーの即時入力が要求されるが、このマウスを使ってきたおかげで、入力に困ったことがないので非常に満足度は高い。

 

そんなこんなで如何に通常マウスの形(使いやすいマウス)のままで多ボタンマウスが使えないかと探したとき、G700に白羽の矢が立ったのだ……。
というか条件を満たす多ボタンマウスが他に存在しなかった。何度も言うが勿論今でも存在しない。

 

  • G700? G700s?

Logicoolは後継機を出すことはあってもマイナーチェンジをすることはほとんどないんが、G700が発売されたあと2、3年でG700sという改善版が発売された。
形や仕様はまったく同じだが、あまりにG700の故障率が多かったのとチャタリング報告が大量だったためにクリックスイッチを交換した耐久性をアップしたモデルが発売したのだった。これを現在も使用中している。
デザインはゼブラ模様が付与された。理由は差別化なだけだと思われる。

 

  • 後継機

公式の後継機になるモデルはない。他のメーカー含めG700と同じ配置のマウスは存在しない。G700sの廃盤後、似たモデルすらない状況が続いていたが、一応数年前に移行先になりえるG502G604が出た。前者は追加ボタン数が7→5と減っているので移行先とは正直言えないが、後者は7→8へと増えている。しかし上で語った誤入力の観点からちょっとMMO12ボタンマウスに近くなっているため、完全な移行先とは言えない。

サイドボタンが多いモデルは割と沢山あれど、人差し指のクリック横に多くの追加ボタンが存在するモデルが絶望的に少ない理由は、噂では基盤的な理由らしい。だとすると今後も後継になるモデルが出ることはなさそうで辛いところ。

 

12年に渡ってプライベートでも仕事場でも同じマウスを使っていると流石にマウスを変えたら能率下がりまくって死んじゃうよ。

 

 

  • 締め雑談

マウスはキーボードに次いでPCの入力デバイスの基本の癖に、キーボードのようにキーピッチ19mm等の使い慣れるべき基本規格が存在しないため、ある特定のマウスに慣れてしまうとそのマウス以外使えなくなってしまう。しかしマウスは消耗品。チャタリング程度なら接点復活剤でどうにかできることもあるが、内部の板バネ系が割れたり、サイドボタンのプラスチックの劣化からボタン支点が割れて取れてしまうなどの修理不可能の故障は起こる。起きたら新しくしなきゃならない。G700sの廃盤後、後継機が存在しないことを確認して僕は、アイキャッチ画像に写っているように大量に在庫を抱えている。もう新品が流通することもなくなってしまったモデルだが、大事に使えば一つあたり2~4年は使えるので在庫を全部消費する前に、高額機種になってもいいからLogicoolさんには是非G700の後継機種を作って欲しいなぁ。マジで!